障がい者スポーツを応援する:SPORTRAIT

POINT OF THE GAMES
科学の視点で楽しめる選手たちの泳ぎ
障がい者の競泳は、一般の競泳と同じく50m、100mなど、一定の距離を決められた泳法で泳ぎ、タイムを競う。
いかに身体バランスを保ち、かつ水の抵抗を減らしてより速いスピードで泳げるか。そのためにそれぞれの障がいに応じた最適な泳ぎ方を見つけ、追求していけるかがポイントとなる、「科学」のスポーツ。身体能力が同等の選手たちでレースを行い、異なる障がいの選手たちが競い合う珍しい競技でもある。
選手たちはひとたび水中に入って泳ぎ始めると、同じようなフォームで一見すると障がいの違いはわからない。
初めに彼らがそれぞれどんな障がいを持っているのかを知り、その上でどのようにして高いパフォーマンスを上げているのか、「科学」の視点を取り入れると観戦が一層楽しめる。

コレだけは覚えておきたい!観戦ルールブック

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競泳とは

競泳は、50m・100mなど一定の距離を決められた泳法で泳ぎ、タイムを競う競技。
世界大会では水深3mが推奨され、50mプールを使用する。レースは予選の際は10レーン全て、決勝のみ両端を除いた中央の8レーンを使って行われる。




自由形、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライの4つの種目に加え、その4つの泳法を順番に泳ぐメドレーがある。

個人種目とリレー種目があり、いずれも障がいの程度によってクラス分けがされ、基本的にはそのクラスごとに競技が行われるが、異なるクラスが混ざってレースを行う方式もある

世界大会の競技種目では、メドレーも含め、個人種目には50m、100m、150m、200m、400mがあり、リレー種目には4×50mと4×100mがある。

※150mは重度障がいの選手向けの個人メドレー種目。バタフライが省かれ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形の順に泳ぐ。

※クラスによって、一部の種目がない場合もある。


 
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競泳のルール

基本的に一般の競泳ルールに準じて行われ、種目と障がいクラスごとに分かれて最速タイムを競う。


【ルールエクセプション】
基本的には一般の競泳ルールに準じて行われるが、障がいによって、どうしても一般の競泳ルール通りにできないことがある場合、競技の公平性を保つため、それぞれの選手に応じた細かな「ルールの特例」(ルールエクセプション)が認められている。

●スタート
・スタート台からの飛込み以外でも、台上や台横から座った状態からのスタートや、水中からのスタートが認められている。
・バランスに問題がある選手や重度の障がいのある選手などは、スタート時に介助者による補助や工夫をすることが認められている。




●ターンとゴールタッチ
・両手タッチが義務付けられている平泳ぎとバタフライについては、切断などで左右の手の長さなどが異なる場合、もう一方の腕も同時に伸ばしていれば、先行する手のみでのタッチが認められる。
・上肢を伸ばしても頭より短い場合は、体の上半身のどの部分でタッチしても良い。



●水中での待機
リレー種目の際、重度障がいの選手は、自身が泳ぎ終わった後も最後の選手が泳ぎ終わるまで、タッチ板から離れた位置で水中に残っていることが許される。


※本ページでは、数あるルールエクセプションのうち、代表的なものを取り上げています。全てを網羅しているわけではありませんのでご了承ください。


【リレー種目について】
リレー種目では4人の選手が交代で泳ぎ、チームの合計タイムを競う。
背泳ぎ→バタフライ→平泳ぎ→自由形の順に交代で泳ぐメドレーリレーと、4人全員が自由形で泳ぐフリーリレーがある。
世界大会のリレー種目には重度障がいの選手が出場する4×50m(20ポイント)リレーと、軽度障がいの4×100m(34ポイント)リレーがあり、
4人のクラスの値の合計がそれぞれ20ポイントと34ポイントを上回らないようにチームを構成する。


             34ポイントメドレーリレーのチーム構成例

              

同じ34ポイントでも、全員平均的なポイントで構成するのか、はたまた重度の選手を入れてでも一番軽度のクラスの選手を入れるのか。
また、同じ泳者でもチームによって障がいや身体能力が異なるため、レース全体を通して順位の入れ替わりが激しく、最後まで目が離せないのが特徴。

※日本国内の競技大会では重度障がいの選手の数が少ないため、38ポイント、28ポイントのオリジナルで行われている。




【視覚障がいクラス特有のルール】

●タッピング
選手が壁に向かって全力で進んでいく際、安全を確保したり恐怖心を取り除くために、壁が近いことを選手の体の一部をたたいて知らせること。
タッピングを行うタッパーは、タッピング棒と呼ばれる長い棒状の道具を使用して選手に合図を送る。

・全盲の選手はこのタッピングが義務付けられており、その他の視覚障がいの選手は任意。
・リレーの引き継ぎは2人のタッパーを置き、タッチと引継ぎを知らせる役割分担を行うことが許される。




●レーン
・スタート後やターン後に誤って他のレーンに入ってしまった場合、そのレーンでゴールすることが認められている。
・本来のレーンに戻る必要がある場合、タッパーが口頭で指示を与えても良い。

●ターンとゴールタッチ
両手タッチが義務付けられている平泳ぎとバタフライで、選手がターンやゴールでコースロープなどに引っかかり、同時のタッチができなかった場合でも、有利になっていないと判断された場合は違反とならない。


●ゴーグルの着用
同じ全盲でも目の状態に幅があり、一律ではないため、条件を統一にするために義眼を除く全盲の選手は、装着すると視界がなくなる不透明のゴーグルを着用することが義務付けられている。

 
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競泳のクラス分け

競技の公平性を保つため、種目ごとに「泳法」と「障がいの種類と程度」によってクラス分けがされ、そのクラスごとに競技が行われる。
競泳のクラスは、泳法のカテゴリーを示すアルファベットと障がいの種類と程度を示す数字の組み合わせによって表現される。














●泳法のカテゴリー
泳法によって必要とされる運動機能が異なるため、大きく以下の3つに区分される。

S : スイムの略。自由形(Freestyle)、背泳ぎ(Backstroke)、バタフライ(Butterfly)の3つが含まれる。

SB : スイムブレストの略。平泳ぎ(Breaststroke)が含まれる。
※平泳ぎはS区分の泳法と比べた際、主に下肢の動かし方が異なるため、別項目の分類になる。

SM : スイムメドレーの略。メドレー(Individual Medley)が含まれる。
※S区分の泳法と平泳ぎが入るため、別項目の分類になる。




●障がいの種類
1~10:身体障がい
11~13:視覚障がい
14:知的障がい



●障がいの程度
数字が大きいほど程度が軽い。
身体障がいのクラスでは1~3が重度、4~7が中度、8以上は軽度のクラス、視覚障がいのクラスでは11が全盲のクラスで、12・13が弱視のクラスとなっている。
 
監修 : 一般社団法人 日本身体障がい者水泳連盟

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一ノ瀬 メイ