障がい者スポーツを応援する:SPORTRAIT

THE SUPPORTERS

富川 理充さん

日本トライアスロン連合 /専修大学

2016年のブラジル・リオ大会からパラリンピックの正式競技に採用されるパラトライアスロン。トライアスロンとパラトライアスロン両競技の統括団体・公益社団法人 日本トライアスロン連合(以下JTU)で、パラリンピック対策チームのリーダーを務める富川理充さんは、自身も競泳、トライアスロンで世界を目指し続けた一人。専修大学商学部で准教授として教鞭を執りながら、世界を目指す選手たちを支える任務を引き受けた富川リーダーに、競技や選手たちへの想いを聞いた。
選手から一転、選手と競技を強化する立場に
Q.パラリンピック対策チームのリーダーになられた経緯を教えて下さい。
 僕は大学卒業までは競泳の選手で、日本選手権に出場した経験もあります。しかしその後のブランクもあり、復帰を考え始めた頃には世界のトップを目指すのは難しい状況でした。それでも「世界と勝負したい」、そんな想いが強くなる中、出会ったのがトライアスロンでした。競泳の経験も生かせる上、これから伸びていくスポーツという可能性に魅かれて挑戦しました。
 パラリンピック対策チームに関わるきっかけとなったのは、トライアスロン転向後のコーチで、日本初のトップアスリートによるトライアスロンチーム、チームケンズの監督でもあった飯島健二郎さん(現・JTUオリンピック対策チームリーダー)から推薦をいただいたため。お世話になったJTUや飯島さんに恩返しがしたいという想いから、内容も聞かず「尽力します」と即答しました。パラトライアスロンにチームリーダーとして関わることがわかったのはその後です。

強い選手を育成できる土台づくり
Q.パラリンピック対策チームではどんなことを行っているのですか?
 チームが発足した2012年当時は競技人口も少なく、強化指定選手を選ぶことすらできないような状況でした。そこから国内大会にはできる限り足を運んで運営スタッフや選手とコミュニケーションを取り、他の障がい者スポーツ団体や国際競技連盟との関係づくりなどにも注力しました。今では強化指定選手も選出でき、例えばバイクパートが苦手な選手に日本パラサイクリング連盟の協力で専門性の高い指導を実現したり、国際競技連盟からいち早くルール改定などの情報を入手して国際ルールの普及・啓発につなげたりと、当時の地道な活動が土台となり、選手強化の施策へと実を結んでいます。
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人々に応援される、魅力あるアスリートを育てたい
Q.選手と接していて、課題に感じることはありますか?
 「アスリートとしてのストイックさが足りないのでは?」と感じることがあります。リオでの正式競技採用、2020年東京大会開催決定など、環境が一気に追い風になったことで周囲の対応も急激に変化しました。本来であれば一流のアスリートと認められて初めて注目されるはずのところを、国際大会に出場するだけでメディアに取り上げられることもあり、一部でその状況に甘えてしまっている選手もいます。そういう時に僕は思うんです。「君は障がい者じゃなくてアスリートだろう?!」と。そうやって甘えている限り、決して一流のアスリートにはなれません。アスリートに障がい者も健常者も関係ない、考えるべきこともやるべきことも変わらない。だから選手たちにも、アスリートとしての意識やプライドをしっかり持ってほしい。それが何よりも先だと思っています。
 人として、魅力あるアスリートになってほしい。その姿に憧れて世界を目指す選手が生まれ、日本の代表としての活躍を楽しみに応援してくれる人が増える。選手を育てるだけでなく、競技のファンをつくることが、2020年までの一時的なブームでなく、その先もこの競技が発展していくことにつながると思っています。

障がいを「個性」として捉える人を増やす
Q.富川リーダーが目指していることは何ですか?
 僕には、観る人、携わる人にとってパラトライアスロンもトライアスロンも同じであってほしいという強い想いがあります。走っているときの気持ち良さや爽快感、ゴールした時の達成感は、障がいの有無に関わらず同じですし、昔は障がい者も健常者と同じコースで共に競い合っていました。そういう意味でトライアスロンの中の一つのカテゴリーにパラトライアスロンがあると考えています。「障がい者なのに頑張っている」からではなく、健常者でさえ過酷なレースをゴールできてしまう彼ら彼女らが「アスリートとしてすごい!」から応援する、そんなファンが増えてほしいと思っています。
所属する専修大学では、これまで培ってきた人脈を生かし、障がい者スポーツの選手や関係者を講師として招く「障がい者とスポーツ」という授業も立ち上げました。障がいを特別なものとしてではなく「個性」として捉える人が増え、健常者が障がい者に相対しても、またその逆であっても構えない社会になっていってほしいと、そう思っています。

1972年生まれ。筑波大学体育科学研究科満期退学後、
2008年に博士(体育科学)を筑波大学にて取得。
2011年専修大学商学部へ入職、2015年専修大学トライアスロンクラブを創部、現在に至る。
日本トライアスロン連合(JTU)では、
2011年より情報戦略・医科学委員としてレース分析やトライアスロンスイムの研究を進める。
2012年よりパラリンピック対策チーム(当時はパラリンピック対策プロジェクト)の
リーダーに就き、日本のパラトライアスロンの牽引役を担っている。
2015年アジアトライアスロン同盟のパラトライアスリート委員会副委員長に就任した。
 
所属先:公益社団法人 日本トライアスロン連合(JTU) パラリンピック対策チーム
設立:1994年4月(チーム発足:2012年12月)
住所:東京都渋谷区渋谷1-3-8 第二栄来ビル6F
事業内容: トライアスロンや関連複合競技の普及・強化活動
URL:http://www.jtu.or.jp/
 
所属先:専修大学商学部(専修大学スポーツ研究所)
住所:神奈川県川崎市多摩区東三田2-1-1
URL:http://www.senshu-u.ac.jp/
(専修大学スポーツ研究所URL: http://suisport.jp/http://suisport.jp/