障がい者スポーツを応援する:SPORTRAIT

THE SUPPORTERS

江村 宏二さん

日本オリンピック委員会 フェンシングナショナルコーチ / 日本フェンシング協会

選手、コーチとして数多くの輝かしい戦績を残しJOC(※日本オリンピック委員会)のフェンシング・ナショナルコーチを務める江村 宏二さん。2020年、日本の車いすフェンシングが世界で勝つためには、フェンシングと車いすフェンシングが一体となって取り組むことが近道だと語る。フェンシングの江村コーチが車いすフェンシングでどのような取り組みをしているのか、お話を伺った。
車いすに乗っていること、年齢・性別は関係ない
Q.車いすフェンシングに出会ったきっかけを教えてください。
選手時代、海外遠征で色々な国を回る中、驚いた光景がありました。試合会場に入ると車いすのフェンサー(※フェンシング競技者)がいて、フェンシングと車いすフェンシングの試合が同じ会場で行われているのです。地元のフェンシングのクラブチームを覗いてみても、車いすのフェンサーも含め、子どもからお年寄りまで年齢・性別問わず一緒に練習をしています。車いすフェンシングは、固定した車いすに座って競技すること以外は、フェンシングと同じルールです。フェンシングは、車いすに乗っていることや年齢・性別は関係ない、そう言われたようで衝撃でした。もし、日本の各地でこの光景が見られるようになれば、フェンシングは色々な人にとって身近なスポーツになり、有望な選手が全国から現れる土壌ができるのではないかと思いました。

勝つためにはフェンシングと車いすフェンシング一体で
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Q.車いすフェンシングに取り組まれているのは何故ですか?
選手を引退して、大分県のフェンシング強化の職に就いていた時、新たなフェンシング場の建設に携わりました。大分は車いすスポーツの先進県と言えます、ここでなら、海外で見たあの光景が実現できる、そんな想いから、フェンシング場をバリアフリー仕様にとお願いしました。その後、JOCのフェンシングのナショナルコーチを引き受けたことで活動拠点が東京に移り、車いすフェンシングからは離れていました。しかし、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決まった時、「今の東京で、パラリンピックで勝つための準備ができるのか」と、ふと不安になったのです。そこで、大分県時代からお世話になっていた日本車いすフェンシング協会の小松理事長に相談をしました。(小松理事長は日本に車いすフェンシングを広めるべく、京都を拠点に奮闘されてきた方。)フェンシングと車いすフェンシングが一体となって取り組むことが東京で勝つための近道になるという結論に至り、一緒に様々な取り組みを始めました。

強化から選手発掘、できることから着々と
Q.2020年に向けた具体的な取り組みについて教えてください。
2020年までにやるべきことはたくさんありますが、できるところから着々と取り組んでいます。例えば、小松理事長が日本フェンシング協会の理事に就任し、フェンシング界で培ってきたノウハウが車いすフェンシングにも活かしやすい環境になりました。東京都北区にあるナショナルトレーニングセンター(※国立のアスリート専用のトレーニング施設)では、車いすフェンシングの有望な選手を受け入れ、女子フェンシングのトップ選手と一緒に練習をしています。車いすフェンシングは、フットワークが使えない分、間合いの調整が難しく、一瞬の判断や体の使い方が勝負を分けるため、フェンシングの選手にもいい練習になります。最初は戸惑っていた両競技の選手たちですが、今では技術的にも精神的にもお互いに切磋琢磨しています。また、選手発掘という面では、北区と協力して「車いすフェンシング教室」を毎週開催し、私や小松理事長はじめ、フェンシングのナショナルコーチも講師陣として参加しています。初心者が気軽に参加できることで車いすフェンシングを身近に感じてもらい、有望な選手が出てくればトップへと引き上げられる取り組みです。

2020年は日本のスポーツ、障がい者スポーツが変わるチャンス
Q.江村コーチが今後、目指していることを教えてください。
選手を世界で勝たせることです、勝つことが最も重要です。勝つことで、競技に注目が集まり、興味を持つ人や教室・クラブへ入る人が増えます。その結果、行政からの支援が増え、企業からの注目度が上がり、選手や指導者などが競技に専念できる環境が生まれ、日本全国に両競技の裾野が広がっていきます。この好循環を生み出すことが目標です。一方で、東京オリンピック・パラリンピックが決まったことで、文部科学省にスポーツ庁が設置され、オリ・パラ一体の機運が高まっています。今の日本は、スポーツと障がい者スポーツの間には色々な面で違いがあります。色々な立場にいる人たちが、この大きなプロジェクトの成功という一つの目標に向かって走っている今こそ、日本のスポーツ、障がい者スポーツが変わるチャンスです。私たちが率先して取り組むことで、日本全体にいい効果が波及していけばと考えています。今年12月に開催される全日本選手権では、フェンシングと車いすフェンシングが同じ会場で試合をします。海外で見た光景を日本で見れると思うと、今から楽しみです。

江村 宏二(えむら こうじ)

日本オリンピック委員会 フェンシングナショナルコーチ/
日本フェンシング協会 強化副本部長・パラリンピック対策委員会 副委員長

1961年大分県大分市生まれ。
1983年中央大学卒業後、国体強化選手として群馬県・山梨県庁に所属(採用)。
1982年からナショナルチーム入り。
1987年、1988年全日本選手権大会フルーレ個人二連覇。
1989年大分県庁採用、1992年全日本選手権大会サーブル個人優勝。
2003年からナショナルチームコーチ、2008年北京オリンピック監督、2009年日本オリンピック委員会(JOC)ナショナルコーチとして採用、
2012年ロンドンオリンピックコーチ、日本フェンシング協会強化副本部長、現在に至る。

 
 
所属先:日本オリンピック委員会 フェンシングナショナルコーチ
住所:東京都北区西が丘3-15-1 国立スポーツ科学センター2F
事業内容:日本フェンシングの国際競技力向上に向けた企画・実践
URL:http://www.joc.or.jp/
 
 
所属先:日本フェンシング協会
住所:東京都渋谷区神南一丁目1番1号 岸記念体育会館4階
事業内容:競技の普及、競技会の開催、国際大会への代表選手派遣、審判員・指導員養成
URL:http://fencing-jpn.jp/
Facebook: https://www.facebook.com/japanfencing