障がい者スポーツを応援する:SPORTRAIT

THE SUPPORTERS

山本 康太さん

日本ブラインドサッカー協会

「2024年世界一」という目標を掲げ、2014年の世界選手権では6位に入賞するなど、着実にその目標に近づいているブラインドサッカー。協会の広報担当としてこの競技の普及、強化に関わる山本康太さんは、自身が4歳から続けてきたサッカーとの関わりの中で、視覚障がい者がメインとしてプレーするブラインドサッカーと出会う。そんな山本さんにブラインドサッカーについて、大会運営や選手との関わり、これからの活動について伺った。
選手や競技を取り巻く環境を変えていきたい
Q.ブラインドサッカーに深く関わられることになったきっかけを教えてください。
 大学生の時、サッカーのサポーター団体に所属し、様々な活動をしていく中で、ブラインドサッカーに出会いました。最初は、「楽しい」という理由だけで観戦や運営スタッフとして活動に参加していたのですが、現・日本代表の落合選手と出会い、地元横浜にチームを立ち上げたことをきっかけに、一緒にコートに立ちプレイヤーとしても活動するようになりました。ブラインドサッカーは視覚障がい者のためのスポーツという印象がありますが、アイマスクをするとみんな同じ条件になるので、誰でも参加ができます。
ある日の練習で、私が選手と衝突して鼻の骨折をしてしまった時、落合選手はじめチームメイトは、「やっとブラサカの選手らしくなったね」と冗談まじりで笑っていました。その瞬間、彼らの競技に向かう覚悟が垣間見え、背筋がスッと伸びた気がしました。サッカーやフットサルとの大きな違いは「見えない」ということです。ボールを追いかけて全力疾走しますし、競技レベルが上がるほど少なくなりますが、真正面から相手とぶつかってしまうこともある。「ブラインドサッカー」により深く関わろうと考えたきっかけはこの時かもしれません。色々な立場で関わるほど、私の中で選手や競技を取り巻く環境を変えていきたいという想いが強くなり、今に至ります。

大会運営はビジョンを伝える場
Q.ブラインドサッカーの大会会場でお見かけすることが多いですが、大会運営において重視されていることがあれば教えてください。
 観戦する側の立場に立つということです。私が所属している日本ブラインドサッカー協会では、「ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること」というビジョンを掲げて活動しています。観客、ボランティア、選手など様々な人が混ざり合う大会運営もそのビジョンを伝えていく場だと考えています。例えば、大会では障がいのある方や一時的に体の機能が低下している方にも大会観戦を楽しんでいただけるように音声ガイドの貸出や会場案内ガイドブックなどのサービスやサポートツールを案内するリレーションセンターを設置しています。これは、障がい当事者がプレイヤーとして楽しめるだけでなく、観戦も楽しめるようにという思いではじめた取り組みです。また、ボランティアの方には学生、社会人、障がい者など様々な方がいらっしゃいますが、事前に私たちのビジョンを伝える機会を設けたり、転がると音が出るブラインドサッカーボールとアイマスクを使ったワークショップを必ず実施しています。競技の理解はもちろんのこと、障がい者への心の垣根を壊すことも意図しているためです。次に街で障がい者と出会った時に、自然と声をかけられるようになったりと、心理、行動の変化を起こしてもらいたいと考えるからです。
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ビジョンを策定したことで迷いがなくなった
 ビジョンが策定されたのは私が協会に入る以前の2008年ごろです。それまで協会では競技を中心に活動をしていましたが、ブラインドサッカーの競技人口を増やし、より多くの方に応援していただくスポーツにしていくためには、このままではいけないと考え、協会のメンバーで合宿を行い、「なぜブラインドサッカーを私たちがやるのか」を考え抜いたのだと聞いています。ビジョンを策定したことで、それ以降は自分たちが行う活動の目的が明確になりました。競技を行う選手だけではなく、障がい者を取り巻く環境を変えていくことも、協会のミッションと位置づけたのです。現在は選手強化や育成、普及など視覚障がい児・者向けの事業の他に、子ども達や企業人など、見える人を対象としたダイバーシティ事業を行っており、ブラインドサッカーにおいて必須とされる、コミュニケーションスキルを身につける過程をプログラム化し、提供しています。

ブラインドサッカーでロールモデルをつくり、社会へ
Q.山本さん個人として今後目指していきたいことはありますか?
 最初は、サッカーに対する価値観は自分が楽しいかどうかでした。「勝つか、負けるか」、勝ったら楽しいし、負けたら悔しい。でも、大学時代に色々なサッカーとの関わり方を知ったことで、世界中で楽しまれている「サッカー」が社会変革を起こすことができるツールだと気が付いたのです。競技としての魅力だけでなく、ソリューション、コミュニケーションツールとしての可能性を持つブラインドサッカー。様々な施策を積み重ね、競技、組織として世界一を目指してブラインドサッカーでロールモデルをつくり、他の競技やスポーツの枠を超えて社会へと水平展開していければと考えています。「ブラインドサッカーで、人と組織の可能性をひろげる」-社会に還元できる私自身の最高の価値は、大好きなサッカーを通じてこそ発揮できる。そう信じて、日々活動していきます。

山本 康太(日本ブラインドサッカー協会 事務管理部 広報)

1983年生まれ。グロービス経営大学院卒。
2006年凸版印刷株式会社へ入社し、
情報コミュニケーション分野の営業職・企画職を経て、2013年より現職。
ブラインドサッカーとは2005年学生時代
に出会い、日本代表サポーター、大会運営ボランティアとして携わる。
2010年地元横浜に県内唯一のブラインドサッカークラブ「ブエンカンビオ横浜」を立ち上げ、
プレイヤーとして競技活動と、地域に根ざしたクラブを目指し普及活動を行っている。
現職では、広報、資金調達、大会運営、企業研修、出張授業などを行っている。
 
所属先:日本ブラインドサッカー協会
設立:2002年10月
住所:東京都新宿区百人町1-23-7 新宿酒販会館2階
事業内容:ブラインドサッカーの強化・普及活動
URLhttp://www.b-soccer.jp/