#AFTER TOKYO2020 砲丸投げの2大会連続メダリストに独占インタビュー<前編>

#AFTER TOKYO2020 砲丸投げの2大会連続メダリストに独占インタビュー<前編>

連覇を目指して東京2020パラリンピック大会に臨んだニコ・カッペル選手(ドイツ)。ケガが完治しない状態で本番を迎え、本領発揮とはいきませんでしたが、男子砲丸投げ(F41:低身長クラス)で銅メダルを獲得しました。2019年に初来日して以来、親日家となり、東京大会を楽しみにしていたカッペル選手にとって、コロナ禍での大会はどう感じたのか、また、プロのアスリートのほか、市議会議員としても活躍しているカッペル選手が、今後目指していることとは何か、オンラインでインタビューしました。

  1. Toppic 01 TOKYO2020を振り返って

    • カッペル選手にとって、2度目となったパラリンピックの舞台は、開会式から6日後の8月31日、新国立競技場で行われました。青空のもと、アナウンスとともににこやかな表情で登場したカッペル選手。新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客での開催となったことについてはとても残念な気持ちでいたと言いますが、厳しい状況の中で開催に向けて尽力してくれた日本に感謝の気持ちでいっぱいだったそうです。登場のシーンには、そんなカッペル選手の気持ちが表れていました。

      カッペル選手は、2本目に13メートル29をマークして3位につけました。さらに4本目には13メートル30をマークし、3位をキープ。残念ながら残り2本は記録を伸ばすことができずに金メダルには届きませんでしたが、銅メダルを獲得。その結果について、カッペル選手はこう語ってくれました。

      「もっと記録を伸ばしたかったけれど、ただまずは無事に出場できて良かったなと思っているよ。そして、メダルを取れたことには満足している。何よりパラリンピックという大舞台で2回もメダリストになれたという実績は、小人症という障がいがあっても生きる権利があるということを伝える意味でも大きいと思っているんだ。また、このコロナ禍で苦しんでいる人、困窮している人たちにも勇気を与えられたんじゃないかな。僕がメダリストになったことで、誰かの力になっていたり、障がいのある人たちの権利を守ることにつながったりと、すごく意味のあることだったと考えているんだ」

    • カッペル選手は、東京2020パラリンピック大会の1年前、2020年7月にドイツで行われた大会では、14メートル30と自己ベストを更新していました。その後、より記録を伸ばそうと練習に励みましたが、意気込むあまり少しオーバーワークになり、背中の脇の部分を痛めてしまったそうです。さらにその年の冬には大腿部分も痛みが発症するようになり、砲丸投に欠かすことのできない体を大きくひねったり曲げるという運動の際には常に痛みがある状態だったと言います。そして、東京2020パラリンピックまでに完治させることはできませんでした。

      それでも東京2020パラリンピック大会に向けて、さまざまなチャレンジをしてきたこと、そして銅メダルを獲得できたことに「達成感を感じていた」というカッペル選手。最後の投てきの後の笑顔が印象的でした。

  2. Toppic 02 特別な環境下でのトレーニング、大会

    • 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、東京2020パラリンピック大会は史上初めて1年延期での開催となりました。カッペル選手が住むドイツでもロックダウンとなり、アスリートにとっては厳しい状況となりました。そんななか、カッペル選手はどのようにしてトレーニングを続けていたのでしょうか。

      「2019年まではオリンピック選手と一緒にトレーニングをしたり、あるいはテストをして自分の体についても把握できていたんだよ。でも、2020年はそれがまったくできなくなっしまった。だから、自分で工夫をしてトレーニングをしていたよ。自宅の地下の倉庫にあるものをすべて出して、自分で購入してきたトレーニング機材を運び入れたり、もともと自分が使っていた自宅の屋上でもトレーニングスペースをつくったりね。そうそう砲丸の代わりに使っていたボールで砲丸投の練習をしていたから、倉庫の壁には今もボールをあてて凹んだ跡がついているんだ(笑)。でも、それ自体がトレーニングの証。僕は誇りに思っているよ」

    • そして、コロナ禍での思いについても、こう語ってくれました。

      「2020年から2021年にかけて、最も感じたのは、外に出かけたり、健康に日々を過ごすことだったり、あるいはスポーツをすることだったり、それまで自分が当たり前にしてきたことは、全て当たり前ではなかったということ。だから、すごく感謝の気持ちが出てきたんだ。それと、ドイツではコロナ禍で一時まったく仕事ができなくなった時期にも、国からの支援で収入を得ることができたので、生活に困窮したり失業せずに済んだんです。僕たち国民が国からすごく支えられていることを実感した1年でもあったんだ」

      また、コロナの収束の見通しが立たない中で開催された東京2020パラリンピック大会について、来日前からあまり不安の気持ちはなかったとのこと。その理由は、マスク装着の義務や、行動範囲の規制など、さまざまな対策が図られているという情報が届いていたからでした。カッペル選手自身も、来日前にワクチン接種を済ませるなど、しっかりと準備をしていたとのこと。そして実際に来日すると、競技運営スタッフやボランティアの方々のサポートが行き届いていたといい、全く不安なく競技に専念することができたそうです。

    • ただ、やはり無観客で行われ、楽しみにしていた多くの人と触れ合うことができなかったことはとても残念だったと言います。それでも、事前キャンプで訪れた長崎県島原市では、円滑にトレーニング行われるようにと、手厚いサポートがあったとのこと。また、そこで初めて食べたしゃぶしゃぶの味は忘れられないと言います。「次に来日した際には、必ずまた食べに行きたい」と語ってくれました。

      後編では、アスリートとして市議会議員としての今後の目標についてうかがいました。

      (2021年12月、オンラインにてインタビュー)

大会概要

  • information-1

『東京2020パラリンピック競技大会』
 Tokyo 2020 Paralympic Games

開催期間:2021年8月24日(火)~9月5日(日)
競技数 :22競技
開催地:日本・東京
運営主体:国際パラリンピック委員会(IPC)
     東京2020オリンピック・パラリンピック組織委員会
競技数:22競技

陸上競技は8月25日から競技がスタート、最終日の9月5日まで熱戦が続いた。
会場は東京・新国立競技場とマラソンが東京の街なかで実施。

GUEST PROFILE

選手名が入ります

ニコ・カッペル NIKO KAPPEL
1995年、ドイツ・シュツットガルト近郊生まれ。低身長症。パラ陸上F41クラス。ドイツで同じく低身長症選手のマティアス・メスターに憧れ、2008年に本格的に陸上競技・砲丸投げを始める。2015年、カタール・ドーハで開催された世界選手権で、12.85mを記録し銀メダルを獲得し、2016年リオパラリンピックで1cm差の勝負を制し金メダルに輝く。2017年にはロンドン世界選手権で金メダル獲得。2018、19年と記録を更新し続け、東京2020パラリンピックでは連覇を目指すが惜しくも銅メダル獲得。

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