競泳
障がい者の競泳は、一般の競泳と同じく50m、100mなど、一定の距離を決められた泳法で泳ぎ、タイムを競う。 いかに身体バランスを保ち、かつ水の抵抗を減らしてより速いスピードで泳げるか。そのためにそれぞれの障がいに応じた最適な泳ぎ方を見つけ、追求していけるかがポイントとなる、「科学」のスポーツ。身体能力が同等の選手たちでレースを行い、異なる障がいの選手たちが競い合う珍しい競技でもある。 選手たちはひとたび水中に入って泳ぎ始めると、同じようなフォームで一見すると障がいの違いはわからない。 初めに彼らがそれぞれどんな障がいを持っているのかを知り、その上でどのようにして高いパフォーマンスを上げているのか、「科学」の視点を取り入れると観戦が一層楽しめる。
競泳
一ノ瀬 メイ
今年9月、リオデジャネイロパラリンピックに出場した一ノ瀬メイ選手。彼女がメインとしていたのが、200メートル個人メドレーだった。昨年7月の世界選手権で決勝進出を果たし、今年3月のリオデジャネイロパラリンピック選考レースでは自身が持つ日本記録を4秒近く更新した種目だ。しかし、リオでは「自己ベスト更新」「決勝進出」いずれも叶えることができなかった。
「やっぱり、パラリンピックは他の大会とは違う。アップの時はすごく調子が良くて、自己ベストを狙っていたんですけど……実際のレースではいい感覚がなくなっていました」
これまで本番で力を発揮するのが、一ノ瀬選手の強さでもあった。だが、パラリンピックという舞台は、それを出させてはくれなかった。
それでも、彼女はこれで終わらなかった――。