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車いすテニススーパーシリーズ
「JAPAN OPEN」

2019.07.09

2019年4月23日~28日、福岡県飯塚市の筑豊ハイツテニスコートでグランドスラムに次ぐグレードのスーパーシリーズに位置づけられる車いすテニスの国際大会「天皇陛下御在位三十年記念 天皇杯・皇后杯 第35回飯塚国際車いすテニス大会 (Japan Open 2019)」が開催。
昨年より優勝者には天皇杯が下賜されることになった男子シングルスでは、4年ぶりに世界ランク1位の国枝慎吾選手が優勝。皇后杯のかかった女子シングルスは同1位のオランダのディーデ・デグルート選手が優勝した。注目が集まった男子ダブルスは、日本の国枝/眞田ペアが準優勝、フランスのウデ/ペイファーペアが優勝しました。約2000名ものボランティアが支える大会の様子をレポートします。

男子シングルス

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念願の天皇杯、
完全復活の国枝選手

小雨がぱらつく中行われた男子シングルス決勝は、世界ランキング1位の国枝慎吾選手と同3位のステファン・ウデ選手(フランス)の戦いとなった。第一セットはタイブレークの末、7-6、第2セットは7-5で国枝選手が接戦を制した。
「今の段階ですごく調子がいい。肘の不安もない、思いっきりバックハンドも振り切れている」。試合後、国枝選手は2016年に手術した右肘の怪我からの完全復活を言葉にした。国枝選手のキャリアの中で獲れていないタイトルがウィンブルドンと、昨年から下賜されているJAPAN OPENの天皇杯。昨年は手術後ということもあり、決勝戦でゴードン・リード選手(イギリス)に敗れ準優勝、そのためこの大会にかける意気込みは強かった。
対戦相手のウデ選手について、「サーブで押すテニスで、車いすテニス界を変革し押し上げた選手。僕自身も「ウデ選手に負けないぞ」。とサーブを磨いた」。と話す。今回で47回目の対戦、お互いキャリアもタイトルも重ねてきている選手同士の戦い、特にメンタルタフネスが要求され、国枝選手は試合中、ラケットにも貼ってある「俺は最強だ」という言葉を何度か唱えたという。
「彼も僕もロングラリーが好きな選手。どちらが先に仕掛けるか、リスクのあるショットを打てるかの戦い。第1セット3-5のリードされているタイミングで、ストロングショットを意識して打ち、相手を走らせて崩す形が取れた。第2セットでもシーソーゲームになった時、ウデ選手のループ気味のショットを回り込んで調子が良かったフォアハンドで仕掛けることができた。少しずつこちらに形勢が傾き優勝できたと思う」。と試合を振り返った。
気を緩めた瞬間、勢力がガラリと変わるのが今の車いすテニス男子シングルス、「ここで満足はできない」。とにかく東京までは気を抜かず一日一日をしっかり過ごす、と国枝選手は気を引き締めていた。

女子シングルス

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パワフルなテニスで勝ち切った
デグルート選手

大会7連覇がかかった世界ランキング2位の上地結衣選手と同1位のディーデ・デグルート選手(オランダ)の女子シングルス決勝は、第1セット6-3、第2セットはタイブレークの末7-6でデグルート選手が優勝した。
上地選手への戦略について尋ねられたデグルート選手、「・・・秘密」。と笑みを浮かべつつ「一貫して安定したプレイができ、ミスが少なかったことが結果に繋がった」。と話した。デグルート選手は2月末に車いすを新調している。動き出しのスピードとその際必要なパワーを軽減させることを狙い、アルミニウムとカーボン、樹脂を使用した素材に変え軽量化を図り、右ひざを曲げ固定することができるよう形状を変え、力を伝えやすくした。来年の東京2020パラリンピックを見据え、トレーニングとチャレンジを積むためにこのタイミングに変えたのだという。上地選手について、「いつもベストな攻め方をしてくる選手、引き出しが多い。彼女との対戦で心懸けているのは、リスクをとるということ。とにかく、1球1球を大切に強く、プッシュプッシュと打ち返した」。とライバルであり、友人であり、尊敬する存在だと話した。
一方、第2セットで3回マッチポイントを凌ぐ接戦を見せるも準優勝の上地選手は、「あの試合内容では連覇はできない、そこは現実なので受け止めなければ。勝敗を分けたのはサーブ。相手にとって打ちにくいサーブを、と気負う気持ちと自分のイメージするサーブを打ちたいと思いが整理できないまま臨んだことが、連続のダブルフォルトを招いた。」と厳しい表情で話した。しかし、収穫もあった、これまでコートの後方にポジションを取りチャンスを待つスタイルだった上地選手、今はリスクを背負っても前に出てドライブボレーをするなど前後の動きを意識した展開にトライしている。「予選から試合を重ねていく中で決勝に合わせて調子を上げ、試合の中で試すことができたことは大きかった」。大会中、決勝が一番前に出ることができた試合だと振り返った。来年の東京2020パラリンピック、グランドスラムでのデグルート選手との再戦をイメージし、新たな試行錯誤を続ける。

男子ダブルス

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安定感の国枝選手と
眞田選手の飛躍的な伸び

準決勝から、イギリス・フランス・オランダ・日本の国別対抗戦さながらとなり、注目をあびた男子ダブルス。フランスのウデ/ペイファーペアと国枝/眞田ペアが決勝を戦い、第1セット6-3、第2セット6-2でフランスペアが優勝した。
「百戦錬磨の2人に挑戦者という立場で向かったが、ウデ選手が相当キレキレでやられてしまった。フランスペアとの決定的な差はネットプレーのうまさ、ダブルスの限られたスペースに針の穴を通すように正確なショットを打ってくる」。と国枝選手は振り返った。ダブルスの試合では、基本的に2人がコートの後方にポジショニングする2バックの形をとることが多く、どうしてもスペースが少なくなってしまうという。国枝選手とペアを組んでウデ/ベイファーペアと対戦するのは3回目の眞田選手も、「決勝の舞台で戦うのは初めて。穴がない印象、彼らの方が速いタイミングで攻撃を仕掛け、自分たちは後手に回ってしまった」。と続いた。
フランスのウデ選手は日本ペアについて、「眞田選手が前回の試合より飛躍的に上達している。非常にパワーがある動きに加え、力づくでいくことが減った。一貫性のあるプレーが増えている。国枝選手は常に安定感のあるパフォーマンスができる」。と眞田選手の急成長と国枝選手の安定感について話した。ダブルスの課題は「コンビネーションの精度」と口をそろえる国枝/眞田ペア、しかし同時に「個の力を上げていく」ことの大切さについても言及した。練習時間を確保することが難しいダブルス、試合の中で経験を積み、会話をしコンビネーションの精度を上げて息を合わせていく。最後に眞田選手は、「1年後を想定すると、今回決勝に残りメダルマッチを想定した試合ができたことは大きい。1+1が2ではなく、3や4になるように個の力を上げていきたい。」と力強く締めくくった。

「イイヅカ方式」

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約2000人のボランティアが
支える国際大会

1985年からスタートした飯塚国際車いすテニス大会は、「イイヅカ方式」と呼ばれる市民参加型のボランティア支援による運営方式がとられている。今年も約2,000人の地元市民や企業、各種団体、学校等によるボランティアが通訳やボールパーソン、会場設営などで活躍した。また、選手送迎のため陸上自衛隊の飯塚駐屯地の隊員が車いすや用具を含めた選手の移動や会場設営に尽力する様子も印象的。
ボールパーソンとして参加した地元大学生は、「2年連続での参加。世界のトッププレイヤーや他のボランティアの人など、様々な人と触れ合う機会があることが魅力。来年は就職してしまい今のかたちで参加できるかわからないが、何らかの形でかかわりたい」。と早くも来年の大会が楽しみだと話す。国枝選手も大会運営について「これほど多くの規模のボランティアの方々が援護してくれる大会は世界見渡しても中々ない。日本人として誇りであり、この舞台に立てて幸せ」。とコメントした。

撮影・編集:SPORTRAIT編集部

EVENT INFORMATION

JAPAN OPEN2019

大会名:天皇陛下御在位三十周年記念 天皇杯・皇后杯 第35回飯塚国際車いすテニス大会(JAPAN OPEN2019)
カテゴリー:UNIQLO 車いすテニスツアー(ITF・スーパーシリーズ)
会期:2019年4月23日(火)~4月28日(日)
会場:筑豊ハイツテニスコートほか(福岡県飯塚市仁保8-30)
主催:一般社団法人日本車いすテニス協会(JWTA)、特定非営利活動法人九州車いすテニス協会(KWTA)
公認:国際テニス連盟(ITF)・公益財団法人日本テニス協会(JTA)
URL: https://japanopen-tennis.com/