初戦の重圧に苦戦するも
逆転で白星発進
「地元開催で史上初の金メダル獲得」を目指した車いすラグビー日本代表。開会式の翌25日から予選プールがスタートした。日本は、オーストラリア、フランス、デンマークと同じプールAに入っていた。
初陣の相手は、フランス。2018年世界選手権で初優勝し、世界ランキング3位の日本にとって同6位のフランスは、傍から見れば「勝って当然の相手」だと考えられていたことだろう。しかし、世界最高峰の大会にそう簡単に勝てる相手など一つもない。ましてや百戦錬磨の強豪と言われるチームでも難しいとされる初戦。加えて地元開催という緊張感も、日本代表チームにはあったことは容易に想像することができる。
ケビンHCも「今大会、最も難しいゲームだった」と語るフランス戦は、第1ピリオドの開始早々に暗雲が立ち込めた。フランスが先制した直後、日本のパスをカットされ、相手ボールに。このチャンスにフランスはしっかりとトライを決めて、いきなり2点をリードされてしまったのだ。
それでも中盤に相手のミスによって、日本が連続得点を奪って同点に追いついた。これで、日本が最後にトライを決めて同点とすれば、試合を振り出しに戻した状態で第2ピリオドに入ることができた。ところが、13-14で迎えた終了間際にターンオーバーを許し、フランスにラストトライを決められて2点ビハインドとなってしまったのだ。さらに第2ピリオドの終了間際にも日本にミスが出て、同点のチャンスを自ら逃し、25-27とリードを許したまま試合を折り返した。
ようやく日本らしいプレーが出たのは、第3ピリオド。中盤、日本の厳しいプレッシャーにフランスがパスをミスして日本ボールに。これで連続得点を奪った日本は、しっかりとラストトライも決めて、41-41と同点で最終ピリオドへ。開始早々に再びターンオーバーでリードを広げられるも、中盤に今度はフランスのターンオーバーで連続得点。さらにフランスはスローインの際に10秒バイオレーションを取られてしまう。このチャンスに日本が逆転のトライ。これが試合を決定づけ、日本は53-51で競り勝った。
ケビンHCは、こう振り返る。
「実力的に拮抗した中、勝敗を分けるのはチームとしての力を発揮できるかどうかでした。そして、それだけの精神的な強さがあるかどうか。その点、私たち日本は平常心ではいられなかった部分がありました。ホームゲームでのプレッシャーが、大きく影響した初戦となりました」