赤と青のカラーボールを、ジャックボールと呼ばれる白い目標球にどれだけ多く近づけられるかを競うボッチャ。
カーリングにも似ているが、的を動かせるという点で全く別の面白さがある。ボールを寄せるだけでなく、相手ボールを弾いたり、ジャックの周りを固めたり、
時にはジャック自体を動かしたりと、無数の打ち手が存在する頭脳戦は、囲碁や将棋に似たものも感じる。状況を見極め、相手の持ち球やプレースタイルなどを織り込んで立てる緻密な戦略と、それを実現する正確な投球がものをいうこの競技では、たった一球で戦況が180度変わることもあり、知れば知るほど面白みが増していく、
シンプルでありながら奥深い競技だ。
コレだけは覚えておきたい!観戦ルールブック
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- ボッチャとは
- 赤サイドと青サイドに分かれ、それぞれ6球のカラーボールを投げたり、転がしたりして、ジャックボールと呼ばれる白い目標球にどれだけ多く近づけられるかを競う競技。
屋内の専用コートで行い、障がいによりボールを投げることができなくても、足でボールを蹴ったり、自分の意思を競技アシスタントに伝えることができれば
ランプと呼ばれる投球補助具を使ってプレーすることができる。
互いに持ち球の6球を投げ終えた時点でエンドが終了し、ジャックボールに最も近い位置にボールを置いたサイドに、
相手サイドの最もジャックボールに近いボールよりも内側にあるボールの数が得点として入る。
全てのエンドが終了した時点で合計得点の多いサイドが勝利となり、同点の場合は追加のタイブレイク・エンドによって決着をつける。
試合は男女混合で、基本的に障がいの種類や程度によって分けられたクラスごとに行われる。
1対1の個人戦のほか、2対2のペアと3対3のチームとで戦う団体戦がある。
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- ボッチャのルール
赤サイドと青サイドに分かれ、それぞれ6球のカラーボールを投げたり、転がしたりして、ジャックボールと呼ばれる白い目標球にどれだけ多く近づけられるかを競う。
男女の区別はなく、個人戦とペア戦は4エンド、チーム戦は6エンドを戦い、すべてのエンドが終了した時点で合計得点の多いサイドの勝利となる。
基本的に障がいの種類や程度によって分けられたクラスごとに競技を行い順位を競うが、チーム戦のみクラス混合で行う。
クラスによって使用できる用具や受けられるサポートが異なる。
【用具とサポート】
●ボール
天然皮革製や人工皮革製で、大きさは周囲が270mm±8mm以内、重さは275g±12g以内という規定がある。
試合には選手各自のボールを持ち込むことができ、ペア戦とチーム戦のジャックボールは、各チーム1つずつ持ち込むことができる。
ボールの種類
●ランプ
障がいにより、ボールを投げる(蹴る)ことができないクラスの選手が使用する投球補助具。
勾配具とも呼ばれ、競技アシスタントのサポートのもと、ボールをランプ上にセットして転がす。
横にした時にスローイングボックス内に収まる大きさであることと、
ボールの推進を助けたり、照準器など方向づけを補助するようなものをつけてはいけないという決まりがあるが、素材や形状などは自由。
●競技アシスタント
基本的に、ランプを使用するクラスにおいてスローイングボックス内で
選手の指示通りにランプを動かす役割を担う。
その際、口をきくことやサインを送ること、
ゲーム中にコートの方を見ることは禁止されている。
また、一部のクラスでは、車いすを動かしたり、選手にボールを渡すなど、投球以外の部分的なサポートが必要な選手に限りアシスタントをつけることができる。
●コート
コートはバドミントンの広さに近い専用のコートを使用する。選手はスローインボックス内でプレーし、
個人戦、ペア戦、チーム戦それぞれでどのボックスにどちらのサイドの選手が入るかが決まっている。
試合形式によるボックス位置と対象クラス
●試合の流れ
①コイントスで先攻の赤サイドと後攻の青サイドを決め、第1エンドは赤サイドがジャックボールをコートに投げ入れる
(以降偶数エンドは青サイド、奇数エンドは赤サイドが先攻)。
ボールがジャックボール無効ゾーンやコートの外で止まってしまった場合は、
相手サイドにジャックボールを投げる権利が移り、以降コート内に入るまで同じ手順で行う。
②続けてジャックボールを投げた選手が最初のカラーボールを投げる。
③もう一方のサイドがカラーボールを投げる。
④以降はジャックボールから遠い方のサイドがボールを投げる。
どちらのサイドが投球するかは、審判がボールの位置を確認し、赤・青の色を示す指示板を用いて合図する。
基本的に両サイドが6球全てのカラーボールを投げ終えた時点で1エンドが終了し、
そのエンドを制したサイドにボールの数に応じた得点が入る。
⑤個人戦とペア戦は4エンド、チーム戦は6エンドを行い、すべてのエンドの合計得点が多い方の勝利となる。
⑥最終エンドを終えた時点で両サイドの合計得点が同じだった場合にはタイブレイク・エンドを行い、決着をつける。
●得点の数え方
ジャックボールに最も近い位置にボールを置いたサイドがそのエンドの勝者となり、
相手サイドのジャックボールに最も近いカラーボールよりも内側にある、自身のサイドのカラーボール1個につき1点が得点となる。
ジャックボールから最も近い等距離の位置に、2個以上の異なるカラーボールがある場合は、それらのカラーボール1個につき1点が双方のサイドに与えられる。
得点の具体例
●タイブレイク・エンド
最終エンドを終えた時点で両サイドの合計得点が同じだった場合、決着をつけるために追加で行われるエンド。
コイントスで先攻サイドを決め、先攻サイドのジャックボールをクロスの位置に置き、以降は通常のゲームと同様に進行する。
タイブレイク・エンドも同点になった場合、2回目のタイブレイク・エンドを行い、以降は勝者が決まるまでこの手順を繰り返す。
【その他の主な基本ルール】
●制限時間
試合には各エンドごとに制限時間が設けられており、選手は自分のサイドの制限時間内にすべてのボールを投げ切らなければならない。
制限時間はクラスと、個人戦・団体戦によって異なる(※)。
制限時間内に投球しきれなかったボールがあった場合、それらはすべて無効となり、投球はできない。
※「3.ボッチャのクラス分け」参照
●ペナルティ
投球時に反則があった場合、そのボールは他のボールにぶつかる前にコートから取り除かれるが、
その他に以下のような反則があった場合は相手サイドに1球のペナルティボールが与えられる。
・相手サイドのプレー中にスローイングボックスから出たり、ボールを拾い上げるなどの投球準備をした場合。
・投球時に選手やアシスタント、用具や衣服などがラインに触れていたり、ラインからはみ出ていた場合。
・投球時に選手の臀部の一部が車いすのシートに触れていなかった場合。
・投球時にランプを使用する選手のアシスタントが振り返ってコートを見た場合。
・投球時にアシスタントが選手の身体や用具に触れ、それが投球の助力となった場合。
尚、ペナルティボールは各エンドの終了時に投球が行われ、コート中心のクロス(縦横25cm)の範囲に入ったボールの数だけ追加点が入る。
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- ボッチャのクラス分け
ボッチャの公式大会では重度脳性麻痺もしくは同程度の四肢重度機能障がいの選手が対象。
障がいの種類と程度によってBC1~BC4のクラスに分けられ、基本的にそのクラスごとに競技を行い、順位を競う。
クラスによって使用できる用具や受けられるサポートが異なる。
監修:一般社団法人 日本ボッチャ協会