ATHLETES' CORE

パラ・パワーリフティング

ATHLETES' CORE

肉体と精神 両方の真の強さが問われる3秒間

1964年の東京大会から正式種目となったパラ・パワーリフティングは、下肢障がいの選手たちによるベンチプレス。脚を含めた全身をベンチプレス台に乗せて仰向けに寝ころび、下半身を固定した状態から上半身の力だけでバーベルを押し上げる。
2018年4月現在の世界記録は310kgと、ほぼ同等条件下で、床についた脚の力も利用してバーベルを押し上げる一般のベンチプレスの記録を上回っている。
他選手のコンディションや戦況を踏まえて行われる重量申告の駆け引きや、約3秒間という一瞬の試技に肉体と精神の全てをかけて戦う、気迫のこもった選手たちの姿に注目だ。

コレだけは覚えておきたい!観戦ルールブック

  • パラ・パワーリフティングとは

    脚を含めた全身をベンチプレス台に乗せて仰向けに寝ころび、下半身を固定した状態から上半身の力だけでバーベルを押し上げ、重量を競う競技。
    脚を床につかない点以外は、基本的に一般のベンチプレスのルールに準じて行われ、3人の審判のうち2人以上が成功と判断した場合に記録が認められる。
    各選手3回の試技を行い、成功した試技のうち最も重い記録が採用される。
    障がいの種類や程度による区分はなく、男女ともに体重別に分けられた10階級ごとに競技を行い、順位を競う。


    競技エリア

    バーベルを落としても床が傷つかないよう、プラットフォームと呼ばれるマットの上にベンチプレス台を設置する。
    プラットフォームの外にコーチングエリアがあり、試技の間はコーチはそのエリア内にいなくてはならない。






































     
  • パラ・パワーリフティングのルール

    脚を含めた全身をベンチプレス台に乗せて仰向けに寝ころび、下半身を固定した状態からバーベルを押し上げ、重量を競う。


    【試技について】
    バーベルをラックから外して一度胸まで下げて静止させた後、肘が伸びるまでバーベルを左右バランスよく平行に押し上げ、再びラックに戻す一連の動作のことを試技と呼ぶ。
    基本的に各選手3回の試技を行い、試技に成功した場合にその重量が記録として認められる。成功した試技のうち最も重い記録が採用され、その記録によって順位が決定する。
















    ●試技の流れ
    試技は以下の①~③の流れで行われる。
    選手は基本的に回を追うごとに重い記録に挑戦していく。

    ①「Bar is loaded」
    主審の「バーズロデッド」(バーベルの準備完了)の掛け声で選手が入場する。
    ベンチ台に移り、足にベルトを巻いて身体を固定する。準備ができたところでバーベルを持ち、腕を伸ばす。

    ②「Start」
    主審の「スタート」の掛け声で試技を開始する。
    選手は「Bar is loaded」の掛け声がかかってから「Start」までが2分以内になるように準備をしなければならない。

    ③「Rack」
    主審の「ラック」( バーベルを戻せ)の掛け声とともにバーベルをラックに戻す。



    ●ラウンド制
    試合は、全ての選手が第1試技を終えた段階で第2試技へ、同様に全ての選手が第2試技を終えた段階で第3試技へと進んでいくラウンド制で行われる。
    いずれのラウンドも、常に挑戦する重量の軽い選手から順に試技を行う。










    ●重量の申告
    第1試技は各選手が試合前に予め申告していた重量で行われる。
    次の試技で挑戦する重量は、その試技を終えてプラットフォームを出た時点から1分以内に申告しなければならない。
    1分を越えてしまった場合、直前の試技が成功していた場合はその重量プラス1kg、失敗していた場合は同じ重量で次の試技を行う。
    第3試技の重量のみ、第2試技後の全選手の申告が出揃った後、最大2回まで変更することができる。














    ●特別試技
    記録を狙うために特別に行われる4回目の試技のこと。選手の記録が日本レコードや世界レコード、
    パラリンピックレコード等の大きな記録まで10kg以内だった場合、
    競技会の順位には反映されないが、特別試技として4回目の試技に挑戦することができる。
     
    【判定】
    審判は成功と判断した場合は白、失敗と判断した場合は赤を示す。
    競技会場では判定ランプが点灯することが多い。
    3人の審判のうち、2人以上が成功と判断した場合に記録が認められる。
    失敗と判断される基準としては以下のような場合がある。


    ・「Bar is loaded」から「Start」が2分を超えてしまった場合
    ・バーベルを胸まで下ろした際、目視できる程度にきちんとバーを静止させなかった場合
    ・バーベルを押し上げる際、胸でバウンドさせるなどして勢いをつけた場合
    ・バーベルを下ろす、もしくは押し上げる際、左右のバランスが崩れ、傾いてしまった場合
    ・バーベルを押し上げる際、途中でバーベルが止まったり、下がってしまった場合



    【用具】
    ●ベンチプレス台

    足をついて使用する一般のベンチプレス台とは異なり、足を含めた全身が乗せられる特別な仕様で、脚を固定するためのストラップがついている。


















    ●バーベル
    20kgのバーにプレートと呼ばれる円盤状のおもりを取り付けたもの。プレートは重さによって色が異なり、目的の重量になるように組み合わせて使用する。
    プレートが落ちないよう最後にカラーと呼ばれる2.5kgの留め具を取り付ける。バー、プレート、カラーの総重量が持ち上げる重さとなる。
























    ●リストラップ                               ●ベルト
    挙上時に手首を痛めないよう、保護する役割を果たす。             挙上時に体を反る際など、腰にかかる負担を軽減させる。









     
  • パラ・パワーリフティングのクラス分けについて

    パラ・パワーリフティングには障がいの種類や程度による区分はなく、男女ともに体重別に分けられた以下の10階級ごとに競技を行い、順位を競う。


























    但し、下肢切断の選手は障がいによって体重が軽くなってしまうため、切断の程度により以下のように体重に重量を加算することで公平性を保っている。


















     

監修:日本パラ・パワーリフティング協会

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