その名の通り、車いすに乗ってプレーするバスケットボール。
一般のバスケットボールと同じコートとボールを使用し、ルールもほとんど変わらないが、スピードや俊敏性、持久力に加え、車いすを操作しながらプレーするという
高い技術が求められる競技。座った状態から一般と同じ高さのゴールに軽々とボールを投げ入れる、選手たちの高い身体能力も目を見張るものがある。
車いすを巧みに操って展開されるスピーディーな点の取り合いはもちろん、いかにスペースをつくり出したり、良いポジションを奪えるかなど、ボール争いとは違ったところで繰り広げられる、チームスポーツならではの激しい攻防や駆け引きも必見だ。
コレだけは覚えておきたい!観戦ルールブック
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- 車いすバスケットボールとは
車いすに乗り、5対5でプレーするバスケットボール。
一般のバスケットボールと同じ高さのゴールにボールを投げ入れ、制限時間内で得点数を競う。
男子と女子があり、コートやゴール、ボールなどは一般のバスケットボールと同じものを使用。ルールもほぼ同じだが、一部車いすバスケットボール独自のルールが存在する。
試合はインターバルをはさんで10分間のピリオドを4回行う。同点の場合は1回5分間の延長戦を決着がつくまで行い、勝敗を決める。
車いすバスケットボールでは、障がいの程度に関わらず、すべての選手に出場機会を生むため、
選手の障がいの程度に応じて持ち点を設定し、コート上の選手5名の点数の合計を14点以内にするクラス分け制度が存在する。
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- 車いすバスケットボールのルール
第4ピリオドまでの合計得点で勝敗を競う。ルールは一般のバスケットボールとほぼ同じだが、一部車いすバスケットボール独自のルールが存在する。
●試合人数とチーム編成
コート上に出て試合をする選手は5名。チームは最大12名で編成することができ、選手の交代に回数の制限はない。
●クラス分け制度
障がいの程度に関わらず、すべての選手に出場機会を生むために考案された制度。
選手それぞれに障がいの程度(身体能力)に応じた1.0点から4.5点まで、0.5点刻みの持ち点が設定されており、
コート上の選手5名の持ち点の合計が14点以内になるように編成されなければならない。
チーム編成の具体例
一般的に、障がいの程度が比較的軽い3.0点以上の選手をハイポインター、2.5点以下の選手をローポインターと呼び、チーム内での役割が異なる。
・ハイポインター(3.0~4.5点)
比較的高い身体機能を持つ。細かな動きやパワー系のプレー等で主に攻撃面での役割を担う。
・ローポインター(1.0~2.5点)
ハイポインターに比べると、運動機能が低い。
主に守備やブロック等で敵の動きを封じて味方のためにスペースをつくるなど、得点源となるハイポインターが自由に動き回る上で重要な役割を果たす。
●車いすバスケットボールの車いす
車いすバスケットボールでは専用の競技用車いすを使用する。
ボールを追って加速や減速を繰り返して激しく動き回ったり、接触プレーもあるため強度が必要だが、重さは12~3kg程度と競技用車いすの中では比較的軽量。
決められた規定内であれば、選手は自分の身体やプレースタイルに合った特注の車いすを使うことができる。
障がいの程度が比較的軽いハイポインターの選手と、障がいの程度が重いローポインターの選手とでは車いすに以下のような違いがあるため、
それぞれの特徴を知っているとハイポインターとローポインターを簡単に見分けることができる。
●得点
3.05mの高さにあるゴールめがけてショットし、ゴールに入ると得点となる。
試合ではショットを放った位置に応じて得点数が異なり、スリーポイントラインより内側からのゴールは2点、外側からのゴールは3点が入る。
また、ファウルを受けた際などに与えられるフリースローのゴールは1点が入る。
【ボール運びについて】
車いすバスケットボールでは、ボール運びに関して以下のようなルールがある。違反があった場合は時計が止まり、相手チームのスローインでゲームを再開する。
●トラベリングボールを保持している時は連続で2回までしか車いすをこぐことができず、3回以上続けてこいだ場合はトラベリングとなる。
2回こぐ間に1回ドリブルをすれば、再び2回車いすをこぐことができ、これを繰り返せばいつまでも動くことができる。そのため、一般のバスケットボールのダブルドリブルは車いすバスケットボールでは適用されない。
●3秒ルール
攻撃側の選手は、相手のゴール下の制限区域内に3秒以上
とどまってはならない。
●5秒ルール
スローインやフリースローの時、審判から受け取ったボールは
5秒以内に投げなければならない。
●8秒ルール
ボールを持ったチームは、8秒以内にセンターラインを越えて
フロント・コートにボールを運ばなくてはならない。
●24秒ルール
ボールを持ったチームは24秒以内にショットしなければな ら
ない。
●バックパスの禁止
一度フロント・コートに運んだボールはバック・コートに戻す
ことはできない。
【ファウルについて】
以下のような場合には反則行為としてファウルが取られ、試合全体を通して個人で5回ファウルをするとその時点で退場となり、コートには戻れない。
ショット動作中に相手からファウルを受けた場合は、そのショットが成功した場合はフリースローが1本、失敗した場合は2本(スリーポイントショットの場合は3本)がファウルを受けた側に与えられる。
また、ピリオド内でチーム全体でのファウルが5回以上になると、それ以降ファウルをするごとに相手チームに2本のフリースローが与えられ、
その後は相手チームのスロー・インでゲームが再開する。チームファウルは次のピリオドに入るとリセットされ、再びゼロからのカウントとなる。
●チャージング
無理に進行して相手側の選手にぶつかった時に取られる
ファウル。
●ブロッキング
相手側の選手の進行を妨げた時に取られるファウル。
●プッシング
手や身体や車いすで相手選手を無理に押す行為に対して取られるファウル。
●イリーガル・ユース・オブ・ハンズ
不当に手を使ったファウル。主に相手選手の手や腕をはたいた時に取られることが多い。
●ホールディング
身体や車いすを使って相手選手の身体や車いすを押さえつける等、相手の行動の自由を妨げる行為に対して取られるファウル。
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- 車いすバスケットボールのクラス分け
選手それぞれの障がいの程度(身体能力)に応じて持ち点がつけられ、1.0点から4.5点まで、0.5点刻みで8段階に分けられている。
障がいの程度が軽い(身体能力が高い)ほど持ち点が高く、障がいの程度が重い(身体能力が低い)ほど持ち点が低い。
一般的に、持ち点が3.0点以上の選手をハイポインター、2.5点以下の選手をローポインターと呼ぶ。
監修:日本車いすバスケットボール連盟 https://www.jwbf.gr.jp/