車いすを「ピスト」と呼ばれる床の装置に固定して、上半身のみで戦うフェンシング。
下半身によるフットワークのない状態で、相手の攻撃に集中するため、剣さばきのスピードとコントロール、近距離での駆け引きが見どころ。
柔軟な身体と機敏な動き、瞬間の判断力が問われる。
選手の体重移動と攻撃に合わせ、車いすが持ち上がりピストがしなる様子は迫力がある。
コレだけは覚えておきたい!観戦ルールブック
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- 車いすフェンシングとは
車いすに座った選手が金属製の細い剣を片手に持ち、制限時間内に相手を攻撃して得られるポイントを競う競技。
使用する剣の種類や攻撃が有効になる場所によって、「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3つの種目がある。
ほぼ全身を覆うユニフォーム、頭には剣道の面のようなマスク、剣を持つ手にはグローブを着用し、
電気審判器から伸びたコード(電気回路)がユニフォーム、剣に繋がっていて攻撃が判定される。ピストと呼ばれる装置に車いすを固定し、上半身のみを使って競技する。
各種目とも、選手の障がいの程度によって分けられたクラスごとに競技を行い、順位を競う。
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- 車いすフェンシングのルール
「ピスト」と呼ばれる装置に車いすを固定して競技コートとし、1対1で行われる。突き技や斬り技で攻撃して得られる得点を競う。
各種目とも障がいのクラスごとに競技を行い、順位を競う。
●試合の流れ
① 車いすをピストに固定、剣や服装の検査をした後、選手は車いすに座り、
対戦相手とのディスタンス(距離)を調整する。
② 主審の号令や掛け声を合図に試合が進行する。選手は車いすに座り挨拶をした後、マスクを着用し、構えのポーズをとる。
両選手の準備が整ったことが確認できると、「アレ(始め)」という合図と共に試合開始。
③3分間の制限時間が終了するか、既定のポイントをどちらかが先取したら、試合終了。最後は、主審の号令で挨拶、握手をする。
●電気審判器について
選手のユニフォーム、剣がコードによって電気審判器と繋がっており、剣先が相手のユニフォームに触れると電気が流れ、攻撃判定を行う。
種目によって、攻撃が有効となる部分が異なる。
赤または緑のランプが点灯:有効
白のランプが点灯:無効
●種目
剣の種類や有効面(攻撃して得点となる場所)によって「フルーレ」「エペ」「サーブル」という3つの種目に分かれており、それぞれに個人戦と団体戦がある。
どの種目も1回の攻撃が有効と判断されると1点が可算される。
個人戦:3分間の勝負を3試合行う、15ポイント先取。
団体戦:3人対3人。3分間5ポイント先取の試合を総当たりで合計9試合を行う。45ポイントを先取するか試合時間終了時点で合計ポイントが多いチームが勝ちとなる。
フルーレ
一番柔らかい剣を使用する。フェンシングの基礎技術が集約されている種目。
瞬時に行われる剣さばきが見どころ。
エペ
一番⻑くて重い剣を使用する。速く突いた方に得点が入るというシンプルな種目。
スピーディな駆け引きや変化に富んだ試合展開が見どころ。
サーブル
平たく刀のような形をした剣を使用する。騎上での決闘を起源とする、わかりやすく勇ましい種目。
斬り技が入り生まれる、ダイナミックな攻防が見どころ。
※「攻撃権」とは、最初に攻撃を仕掛けた選手が「攻撃する権利」を得られるルール。
相手選手は、防御をすることしか許されないが、攻撃してきた相手の剣を払いのけたり、間合いを切って逃げ切るとその瞬間に攻撃権が入れ替わる。
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- 車いすフェンシングのクラス分け
脊髄損傷や下肢切断など、障がいの種類と程度によって2つのクラスに分けられる。各種目ともクラスごとに競技を行い、順位を競う。
●クラスA
車いすに座っている時に自力で体制を維持できる。(腹筋の機能がある)
●クラスB
車いすに座っている時に自力で体制が維持できない。(腹筋の機能が無い)
監修:NPO法人 日本車いすフェンシング協会